90周年から91年目へ(第3回)
昨年、弊社はありがたくも90周年を迎えた。
今まで3回に渡り創業時のストーリーをお話ししてきたが、締めくくりとして1987年に社名変更し、株式会社アンゼン・パックスになってから今日までをお話ししたい。今回は最終回である。
デザイン制作に力を入れ、在庫回転率の低さから厳しい経営となった時も、創業依頼の羊羹パッケージとルミアカップが支えてくれたことは前回お話しした。
そして菓子業界もギフト市場の縮小で厳しさを増していき、経済の変化とともに双方の業界が荒波に揉まれ多くの同業者が去っていったことも前回お話しした通りである。
弊社も2000年代に入ると、金融機関が態度をガラッと変え、今までのように返済のために融資を受ける、いわゆる折り返しが急に出来なくなった。
小生はその頃、父である前社長より財務についてのバトンを渡され、否が応でもこの変化に対応することになるのである。
しかし銀行もリストラが始まった時期。弊社も含め今までのようにはいかないのは当たり前であった。
そんな中でもありがたいことに売上高は小生の入社時より約25%ほど増やすことに成功し、それ以来ずっと変化なく来ていた。
加えて運の良いことに、本社の移転により格段に本社の労務環境が改善。以後多くの新しい優秀な社員が入社した。埼玉県浦和市(現さいたま市)の配送センターも近隣にワールドカップのスタジアムができたのを機に本社と地下鉄で1本でつながり利便性、コミュニケーションが向上。そして現在の広い新築のセンターへ移転が叶うこととなった。これらが完成したのが2004年である。
その後は、大手、大口の仕事が増え、大きくは伸長しないまでも経営基盤は安定していった。それでもまだなかなか思うような利益は出なかったのであるが。
思い返せば90年代まで弊社は小規模菓子店様が大多数を占める取引内容であった。もちろん前回述べたように粗利益率も高かった。
しかし現在は菓子業界では大手といわれる会社も含めて大口取引が増えた。
儲ける環境は厳しくなったが、縮小する菓子業界において安定した売上を保てるようになったのも事実である。
現在では小規模店から大規模店までバランスよくお取り引きを頂いている。
コロナ禍で一気に小生入社時の92年ころくらいまで25%ほど売上高は落ちたが、いまではコロナ禍前のより良い業績を記録する月も出てくるようになり本格回復した。
思えば、あまたの菓子店様も大変な荒波を超え、今がある。
弊社も同じくこの30年の経験を胸に次へと向かいたい。
過去を何度も振り返ることは、老舗の多い日本の業界ではとても大事なことであるとつくづく思った次第である。
代表取締役 尾関 勇